今日の読売新聞を読んでいると、中央省庁での障がい者の記事があり少し驚きました。
なんと昨秋障がい者採用された2,518人のうちすでに131人も退職しているというのです。
まだ半年程度しか経っていないのですが、もうすでに5%強の人が退職していることになります。
個人的な感覚ですが、中途採用(特に障がい者雇用)には「3日、1か月、3ヶ月、6ヶ月、1年」というフェーズで壁が存在します。
特に6ヶ月経てば仕事や職場にも少しずつ慣れてくる時期なので、慎重にならないといけませんね。
私も今の職場で働きはじめもうすぐ1年。振り返ってみると3日目が一番辛かったかも。
参考記事:障がい者雇用で6ヶ月働いた自分をひたすら褒めよう。
さて、「国家公務員」という肩書きを得たというのに半年も経たずに辞めてしまうのも理由があると思います。
ズバリこれが最大の理由と思います。
背景としては「障がい者雇用バブル」があると思います。
2018年8月に水増し問題が発覚後、霞ヶ関が慌てて障がい者採用に乗り出したという背景があります。そこで、なんとか法定雇用率を達成すべく障がい者を大量採用しようという計画を立てたのです。企業に義務づけているのに自分自身が遵守していないのは問題ですからね。
一方、応募側は「安定」と「身分」が保証された(ように見える)国家公務員になれる千載一遇のチャンスです。高い期待を持って応募し高倍率の試験をかいくぐって念願の国家公務員に。
しかし、現実は惨憺たるもののようでした。
精神障害を持つ女性は、薬品製造会社の嘱託社員として働いていたが、ハローワークの勧めで出先機関に就職した。最初の数日間は資料整理などの指示を受けたが、その後は上司から「ちょっと待っていて」と繰り返された。同省のホームページを見ながら過ごしたという。
せっかく国家公務員になったのにホームページを見て時間をつぶさざるを得ないというのは苦痛ですよね。
国家公務員というのは一般的には激務で知られていますが、周囲が忙しい中自分だけ仕事がないというのもつらいですよ。所在なさを痛感すると思います。
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受け入れ機関サイドが障がい者にどのような仕事を与えればいいのか分かっていないのでしょうね。多くは資料整理やデータ入力などの仕事を与えているようですが、やりがいはほとんど感じられない気がします。
つまり、障がい者を受け入れる省庁のほうで体制がまったく整備されていなかったのです。
そもそも採用自体が急すぎるんですよね。
昨秋に水増しが発覚して今春までに採用実施するなんて。
現場を知らない上流階級からのトップダウンで障がい者採用に取り組んだことが容易に想像できます。
そもそも、企業が障がい者を採用する最大のインセンティブはなんといっても「法定雇用率」です。なぜなら、雇用率を達成していないと様々なペナルティがあるからです。
納付金を支払わないといけなかったり、行政指導が入ったり、それでも改善されなければ社名公開するなどという懲罰的な意味合いが強いんですよね。
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だから、なんとしても法定雇用率をクリアするために企業努力するのです。
でも、そんな数合わせ的発想で障がい者雇用をすすめるとミスマッチが起こること必至。
省庁の障がい者雇用が大失敗したのも、もとはといえば数字を達成するというマインドがあるからではないでしょうか。
もっと現場をみないと……。
障がいへの配慮というのは環境的なものもあるので一朝一夕には浸透しないし、個別的な問題をもっと掘り下げる必要があると思うのです。
偏見かもしれませんが、中央省庁で障がい者として働くよりも民間企業での雇用案件を吟味したほうがいい派です。
そもそも国家公務員は激務として知られていますし、それほどの高給ではないんですよね。
さらに言うと公務員には雇用保険が対象外です。
つまり退職しても失業手当がもらえないんですよ。これビックリですよね。
民間企業の障がい者雇用の場合、雇用保険に加入していると最大300日までの手当給付日数が適用されます。会社によっては手厚い制度もあるわけですが、公務員は退職金くらいしかセーフティネットがありません。
また、公務員の場合だとマーケット感覚が鈍るのもネックですよね。
おそらく副業は禁止でしょうし、個人としての発言も制限されます。
ということで、個人的な結論を最後に述べます。
公的機関で障がい者雇用を期待するよりも民間企業での障がい者雇用で長期的に働くということを狙ったほうがいいかと思います。
組織での下克上はほぼ無理ですが、個人として虎視眈々とビジネスチャンスを狙えるので。
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