誰しもうつ病になりたくないものですが、うつ病にどう対処するかをお伝えするために私は4年前に「うつの技術(マインド編): 会社を辞める前に知っておきたい13のこと
この本の中で私は、医者やカウンセラーの立場ではなく、うつ病に罹患した者として読者と同じ目線で語っていることを強調しています。
体験談もはさんでいるので、もしご興味があればご一読くださればうれしいです。
そして、じつは先日も言及したのですが、「うつの技術(テクニック編)」という原稿も並行してひっそりと書いておりました。これは、どちらかというとうつ病にかかったときのセーフティネットをメインとして説明したものです。
そのような情報はあまり世に出ていないんですよ。
なので、私が実体験も含めて体系的にお伝えできればいいかなと思っています。
私がとくに紹介したいのは「DS四天王」と私が勝手に呼んでいる公的な制度です。
「DS四天王」のDSとは「Depression Support 」の略です。
つまり、うつ病をサポートする代表的な4つの制度のことを総称してこう呼んでいます。
その4つの制度とは、「障がい者手帳」「自立支援医療」「障害年金」「失業手当300日ルール」です。
もう一つ付け加えるならば「傷病手当」もこれに含まれるでしょうが、これは公的というよりも健康保険からの給付なので、また別途ご紹介できればと思います。
今回は、このなかから「自立支援制度」をご説明します。
私がうつ病にかかったのは約16年前です。
私が最初に心療内科の門をたたいたときに驚いたことがあります。それは、医療費がものすごく高いということです。
一回の診察代は薬を含めて大体2,000円程度でしょうか?
もちろん、健康保険証を利用して自己負担割合が3割にもかかわらずこの金額なのです。
さらに、カウンセリングを治療に含む場合は定期的に通院する必要があり、医療費だけでかなりの出費になります。私も症状がひどいときは毎週通院していました。
うつ病って「心の風邪」と表現されることもあり、一時的な病気だと思われがちですが、一般的には治療するのにかなり時間がかかるケースも多いのです。
そうなると医療費だけでかなりの出費がかかるんですよね。
そこで、精神病にかかわる医療費を軽減させるという目的で、厚生労働省が素晴らしい制度を導入してくれています。それが、「自立支援医療(精神通院医療)」という制度なのです。
自立支援医療がどういう制度か説明します。
通常、健康保険証を利用すると医療費の本人負担は3割なのですが、この自立支援制度を利用すると本人負担が1割になるのです。
簡単な算数で説明してみましょう。
私の場合、大体一回の診療費用は保険が適用されなければ5,000円程度です。
健康保険証を利用すると3割負担なので約1,500円となります。
しかし、自立支援制度を利用すればなんと500円程度ですむのです。
また、院外処方の場合は薬局で処方される薬も1割負担の対象となります。
薬も高いので、これが1割負担になるとかなり助かります。
さらに、世帯所得によって1月あたりの負担額に上限が設けられています。
たとえば、住民税非課税世帯は医療費の負担額の上限は2,500円になります。市民税の納付額に応じて5,000円から20,000円までの幅で医療費の支払い上限が決まっているのです。
これも非常にありがたい仕組みですよね。
自立支援がとても役立つ制度であることがわかりましたが、ではどのように自立支援を申請すればいいのでしょうか?
詳しくは厚生労働省のサイトに記載がありますので、ここでは簡単に触れておきます。
参考サイト:自立支援医療|厚生労働省
まずは、主治医に相談することから始めましょう。
定期的な通院が必要でしたら対象になる可能性が高いと思われます。
そこで自立支援の対象にあてはまるようでしたら次に市町村の担当窓口にいきましょう。
その窓口で申請書や診断書などの必要書類をもらい、自分で記入したり医者に診断書を書いてもらって書類を準備することになります。
私の場合も、主治医から自立支援医療の話を受けて、市役所の「障がい者支援課」という窓口というところに行き手続きをしました。
自治体によって違いますが、私の場合は郵送での対応も可能でしたよ。
ここで一つの難点がでてきます。
少々お金がかかることです。
なんのお金かと言うと「診断書」にかかるお金です。
診断書は指定されたフォーマットで主治医に書いてもらうのですが、診断書って意外と高いんですよね。病院によって金額が異なりますが、保険適用外なので5,000円〜10,000円程度かかることを想定しておきましょう。
ただ、この金額で医療費が1割になることを考えると早めに自立支援を検討したほうがベターですよね。人によっては5回ほど通院すればペイできますので。
自立支援の有効期限は1年間ですので、毎年更新を行う必要があります。
そして2年に一度のタイミングで主治医に診断書を書いてもらい、市役所に提出しなければなりません。
更新については有効期限が切れる3ヶ月前から受け付けていますので、できるだけ早めに更新の準備をしておきましょう。
有効期限が切れると容赦なく3割負担に戻りますので、要注意です。
最後に一つの豆知識をお伝えします。
もし「障がい者手帳」の申請も検討している場合は、この「自立支援制度」と同じタイミングで市役所に提出すると後々に経済的にとても助かります。
なぜなら、「自立支援医療」と「障がい者手帳」の診断書は兼用することが出来るからです。「障がい者手帳」の申請も検討している人は先に手帳用の診断書を取得してから「自立支援制度」も同時に申請すると診断書は一枚で済みます。
また、障がい者手帳を取得してから自立支援医療を申請するときは診断書のかわりに障がい者手帳のコピーで代用できる自治体もありますので、手続きについては市役所でよく確認しておきましょう。それだけで診断書代が節約できるかもしれませんからね。
長くなってしまいましたので、まとめます。
●長期にわたって精神科で治療する際は「自立支援制度」を考えてみよう。
●「自立支援医療」は自己負担が1割になる。
●基本的に更新は毎年行わなければいけません。(3ヶ月前からできます)
●二年に一度は診断書を市役所に提出する必要があります。
●市役所の窓口で診断書の必要性の有無をききましょう。(診断書代は高いですから)
●「自立支援法」と「障がい者手帳」の診断書は兼用することが出来ますので、同時申請も考えましょう。
今回は、あまり知られていない「自立支援医療」の制度をご紹介しました。
うつ病をじっくり治療したいかたはぜひ検討してみましょう。